2017年04月11日カテゴリ:Webマーケティング

BtoB企業サイトのアクセスログ解析を紐解く4つの視点

BtoB企業サイトのアクセスログ解析を紐解く4つの視点

Webサイト運用に必須のツールであるアクセスログ解析

解説書も多数出回っておりWebでのリソースも豊富ですが、多くのリソースはECやBtoC企業サイトを対象にしておりBtoB企業向けの情報はなかなか見当たりません。

機能やデータの説明に終始しているものも多く、肝心の「何を解析すべきか」がわからずじまいといったものも存在しています。

ではBtoB企業サイトで解析すべき内容とはいったいどのようなものでしょうか?

※特に断りがない限り、Google Analyticsを使用した解析を前提にしています。

そのコンテンツは機能(ワーク)しているか?

BtoB企業のサイトにとって大切なのはアクセスのボリューム(総量)ではありません。

特定の役割を持っているコンテンツが意図した通りに機能しているかどうか、の方がはるかに重要です。

リード獲得が目的であれば商品紹介ページやブログ記事といった対象のコンテンツが

  • アクセスを集めているか
  • 記事を読んだ後に関連するコンテンツへ誘導している(興味や関心を喚起している)か

といった点がコンテンツの評価ポイントとなります。

これを「ページビュー」「直帰率・離脱率」を指標に解析してみます。

コンテンツの視点から見るとページビューはユーザーニーズ(ページビューが多いほどニーズが多い)、直帰率や離脱率は関連するコンテンツやサイトへの期待値(直帰率・離脱率が低いほど期待値が高い)と捉えることができます。

ページビュー多 ページビュー中 ページビュー少
直帰率・離脱率少 A B C
直帰率・離脱率中 D E F
直帰率・離脱率多 G H I

ページビューが多く直帰率・離脱率も低い(上の表「A」ゾーンの)コンテンツほどニーズも多く期待値も高い、すなわちコンテンツとして機能していると評価できます。

一方、ページビューが少なく直帰率・離脱率が高い「I」ゾーンのコンテンツはユーザーにとってあまり意味のない、役に立たないコンテンツと言えそうです。

ページビューが多いのに直帰率や離脱率が高い「G」ゾーンのコンテンツは、対策の優先度を高めるべきです。

ナビゲーションに関わる指標としても有効な「直帰率」と「離脱率」

直帰率離脱率はコンテンツだけでなくナビゲーションに関わる指標でもあります。

直帰率・離脱率が高いということはユーザーがサイト内で目的の(興味や関心がある)コンテンツを見つけることができない、ナビゲーションが機能していない可能性を示唆しています。

特に検索サイトからの流入が増えた昨今、ランディング(入り口)となる詳細ページから関連するコンテンツへいかに誘導するかはナビゲーション設計における大きなテーマです。

こうした問題を解析するには同じタイプのコンテンツについて直帰率・離脱率の低いページ・高いページを比較してみるのがよいでしょう。
※一般的にトップページや一覧ページの直帰率・離脱率は低いので、こうしたページとは分けて考える必要があります。

内容とリンクの関連性、あるいはボタンの位置・誘導文言など差異があるところに改善の余地があるかもしれません。

ユーザーの行動を「ミクロ」で把握する

ユーザーが実際にサイト内をどう回遊しているかを把握することはナビゲーション・コンテンツに限らずとても重要です。

BtoCサイトやECサイトではユーザーの動きをいくつかのセグメントに分けて大きな流れで捉えるのですが、BtoBの場合は母数も少なくユーザーによってその行動も目的も様々なので、サンプリングによる解析の方が効果的です。

Google Analyticsであれば「ユーザーエクスプローラー」で個々のユーザーの行動を追うことができます。

サンプルとしてはメルマガなどから流入した個人を特定できるユーザーがベターですが、ページ/セッションや再訪率の高いユーザーやお問い合わせや資料請求といったコンバージョンを達成したユーザーで解析するのもよいでしょう。

例えば、製品やサービス紹介コンテンツを数ページ閲覧した後に会社情報やIRコンテンツへ遷移したユーザーは取引先企業としての資格があるか、あるいは経営・財務状況は健全かを確認している可能性もあります。

またページ/セッションが多くても、行動を追ってみると何度もトップページに戻って、挙げ句の果てにトップページから離脱、という経過を辿ったユーザーがいたとします。

一人だけならたまたまリテラシーの低いユーザーだったとして見逃すこともできるのですが(笑)、多数いるようであればナビゲーションの問題として捉える必要も出てきます。

検索クエリ(キーワード)は「ニッチ」を探る

BtoB企業のサイトでは検索から流入する際のクエリ(キーワード)は、実は圧倒的に「社名」です。

これらキーワードを数字(割合)で捉えてしまうと「大半を占める社名と数パーセントのキーワード群」となってしまうのですが、その「数パーセントのクエリ群」の中に思いがけないヒントが隠されていることがあります。

例えば、業界内でしか使われることがほとんどなく取り扱い企業も少ない原材料名がキーワードだとします。

そのキーワードでの流入がサイト全体では数パーセントだとしても、そのキーワードで検索した結果、自社のコンテンツが上位に掲載されていることは実はよくあることです。

自社のコンテンツが上位に掲載されているということはキーワードに関連する事柄の業界内のポジションを示しているとも言えますし、競合も少ないとなればビジネスチャンスにもなり得ます。

SEO対策におけるニッチキーワードとしても有効に機能するはずです。

なお、Google Analyticsで検索クエリを確認するにはGoogle Search Consoleと連携が必要です。
Google Search Consoleについてはこちらの記事もご参照ください。

「量より質」のアプローチ

これまでに挙げてきた4点は量より質へアプローチしている点で共通しています。

BtoC企業のように大きなセグメントだけを傾向として捉えてしまうと、その他数パーセントに埋もれている大きな可能性を見落としてしまうことになります。

全体の傾向を捉えつつ、数パーセントの際立った傾向を見逃さないことがBtoB企業におけるアクセスログ解析の抑えどころです。

アクセスログ解析については下記でも取り上げています。

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