企業のWebサイトは立派な経営資源
「ヒト・モノ・カネ」に次ぐ第4の経営資源と言われる「情報」。
まさに情報のカタマリである企業のWebサイト、経営資源としての価値はコンテンツとして公開されている情報だけにとどまりません。
アクセスログはもちろん、コンタクトフォームやSNSを介して生まれるコミュニケーションも実は立派な「情報」です。
こうしたWebメディアが特性を正確に捉えることで、いわば「会社案内の電子版」に過ぎなかったWebサイトも企業活動全般にわたって経営資源として活かされるようになるのです。
電子版「会社案内パンフレット」としてのWebサイト
Webの特性として、既存のメディアとは異ったいくつかの特徴があります。
- 24時間365日、いつでもアクセス可能
- 情報のアーカイブ化が容易
- コミュニケーションツールとしての側面
- ユーザー行動の可視化 …etc
これらの特性を踏まえて、古くは掲示板やブログ、最近ではSNSといったコミュニケーションツールとして大きく発展してきました。
オンライン決済や物流システムのめざましい発展も支えとなって、ECサイトはBtoCビジネスにとって欠かせない存在となっています。
一方、消費者との直接的な接点がないBtoBビジネスにおいて営業活動は人的リソースに頼った手法が中心だったこともあり、Webサイトを事業へ活かすという視点そのものが欠けていたように思えます。
「Webサイト=経営資源」という認識がないため、必要なリソースが使われず、その結果として効果も上がらない…といった悪循環に陥った結果、コンテンツの中身はパンフレットのデータを単にデジタルに置き換えた情報だけという電子版「会社案内パンフレット」という状態が長く続いていたのです。
コンテンツを中心に、広まる活用例
近年、コンテンツマーケティングやオウンドメディアの盛り上がりに代表される「コンテンツ中心」のWeb活用の広まりとともに、BtoB企業でもWebサイトを事業に活用しようという企業が増え、成功事例も多く見られるようになりました。
例えばBtoB企業の営業活動では、情報収集の初期段階において企業Webサイトが情報源として最も利用されていることがここ数年の調査(BtoBサイト調査2015:トライベック・ブランド戦略研究所)で明らかになっています。
取引先や導入を検討している企業(=ユーザー)は、企業が提供している情報の価値を認めていることに他なりません。
そのことにいち早く気付いた企業では、
- ダウンロードできる資料を用意して、見込み客との接点を作り出す
- 営業担当者が、自社のWebコンテンツをメールでお客様にお知らせしてサービス訴求や需要喚起を行う
- 動画コンテンツで、サービスのUSP・ユーザー側のベネフィットを伝える
といった形でWebコミュニケーションの活用に取り組みを始めています。
閲覧したユーザーを特定する技術が普及したことあり、ピンポイントで特定の顧客にアプローチする手法も広まりつつあります。
こうした取り組みの結果、商談を優位に進めたり有効なリードを獲得に貢献しています。
会社案内パンフレットより数倍の価値を生み出す「情報=経営資源」としての活用例です。
営業面のビジネス活用にとどまらない「経営資源」としてのWebサイト
営業面での活用が話題の中心であるBtoB企業のWebサイトですが、顧客以外にも幅広いステークホルダーにとっても有益なツールです。
上場企業であればIR情報は必須とも言えるコンテンツですが、ITリテラシーの高い方も多い株主や投資家は通り一遍の公開情報だけでなく、Web上にあるさまざまな情報を収集して評価材料とします。
こうした株主や投資家は、WebサイトをはじめとしたITへの投資をしている企業の方に好印象を持つ傾向があります。
ITリテラシーが高いといえば「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代の就職希望者へ向けた活用も欠かせません。
就活サービスへの掲載や採用コンテンツの作成は当たり前のように行われていますが、実は就活生のそのほとんどが採用コンテンツだけでなく、コーポレートサイトをはじめとした企業のサイトをくまなくチェックしています。
学生の場合は面接対策という側面に加えて、両親をはじめとした身近な社会人に「この会社、どう思う?」といった形でURL(アドレス)を教えてアドバイスを受けるといった形でも使われています。
優秀な学生や、即戦力かつ考え方の合うキャリア採用を成功させるためには、企業のWebサイトがそのコミュニケーションニーズに応えるものである必要があるのです。
さらに、外部のステークホルダーだけでなく、社員向けのコミュニケーションツールとしての活用法もあります。
社内のコミュニケーションを活性化するためにイントラで社内ブログやSNSを活用する取り組みもありますが、その目的が明確でない限りなかなか活性化にはつながりません。
一方、社外に公開されている情報、特に企業理念やコーポレート・アイデンティティといったコンテンツは社内での共有や意識合わせといった点でも有効です。
そして何より、自社のWebサイトの出来栄えがよいと社員のモチベーションもアップします。
営業トークに使えるだけでなく、家族や友人の間でも話題になれば気分が悪いわけがありません。
このようにWebサイトには「経営資源」としてのさまざまな側面があります。
コンテンツのみならず、システムや機能によって創出されるユーザーとのコミュニケーションも加わることで資産としての価値もますます上がっていくのです。