BtoB企業のコンテンツ作りにおける「顧客視点」について改めて考えてみる
コンテンツ作りの上で顧客視点が重要なことは言うまでもありませんが、わかってはいても簡単には顧客視点にならないところがコンテンツ作りの難しさでもあります。
特にBtoBビジネスの場合、顧客は部門や企業などの「組織」であり、消費者個人を対象とする顧客視点とは違う角度からのアプローチも必要です。
そこで今回はBtoB企業、特にビジネスに役立つコンテンツ作りにおける「顧客視点」とは?そのヒントを探ってみます。
BtoBビジネスの顧客理解は「意思決定プロセス」から
BtoBビジネスの顧客像を捉える際、購買や導入に至る組織の意思決定プロセス(ビジネスプロセス)を理解しておくことがまずは重要です。
組織とはいえ、その中で行動する個人(担当者)がコミュニケーションターゲットとなるからです。
ビジネス形態や業界によってバリエーションはあると思いますが、概ね以下のようなプロセスが購買・導入へ至る過程で行われることとなります。
- 問題の認識〜課題(案件)化
- 情報収集〜業者選定
- 業者への提案・見積もり依頼
- 社内稟議〜購買
ここで各プロセスに応じて必要なコンテンツを用意する、というのがBtoBマーケティング的には模範解答となりますが、実際にところ、主に情報収集フェーズである1.〜2.のプロセスにおいてWebサイトが活用されることが大半ではないでしょうか。
ですので、ことサービスや製品に関わるコンテンツに限ってもこのフェーズでアクセスしてくる層を「顧客」と捉えても概ね問題ないでしょう。
ちなみに3.の段階では顧客とのコミュニケーションも進み、Webサイトに掲載されていないより踏み込んだ情報、言い換えるとWebサイトでは公開できないような情報の提供を求められるはずです。
4.の段階まで進むと購買部門や経営層といった方々のアクセスも想定する必要がありますが、この層はサービスや製品の具体的な中身より企業の信頼性や安定性といった点を評価・確認することが主目的となります。
顧客が抱える「課題」を把握する
ところで個々のプロセスにおいて担当者に課せられたタスクや役割は異なりますが、導入や購買を検討するにあたって組織共通の目的があります。
それは「組織が抱える課題を解決」することです。
BtoBビジネスの商材の多くはその課題解決を目的としています。
だからこそ顧客にとっても購買や導入(を検討)するだけの「価値」があるとも言えます。
つまり、企業が抱えている「課題」を把握することが顧客視点を理解する上でのスタート地点となります。
「ドリルを買うお客様が欲しているのは、穴である」という格言にもある通り、ドリルの機能性よりも開けられる穴について知りたいのが顧客の視点なのです。
解決のための手段について具体的に検討し、「課題を解決してくれそうな」サービスや製品、あるいは企業を選定するため材料を探す、というのが2.情報収集〜業者選定プロセスにおける顧客の行動です。
ですので、まずは顧客の課題を把握し、その解決策を提示するところから始めてみるのが良いのではないでしょうか。
「担当者の属性情報」は営業マンの手の内に?
課題の把握から一歩進んで、各プロセス毎に中心となる担当者の役職や職種、あるいは性格などの属性情報を「ペルソナ」に代表されるような形で集約することで、いよいよコンテンツ作りにおける顧客視点に幅も深みも増してきます。
ところがこの個々の担当者の属性を集約するという作業、旧来型の営業手法が色濃く残るBtoB企業では思うように進まない現実もあるようです。
以前、ブランディング視点からBtoB企業サイトのあり方を捉えた記事でも取り上げましたが、展示会や電話営業、あるいは既存顧客の引き合いや紹介といった形で展開している営業活動は基本的にFace to Faceです。
ですので、これらの顧客情報がいわば営業担当者に「属人化」される傾向にあり、なかなか社内共有が進まないという事情があります。
特に顧客情報を長年に渡って蓄積している優秀なベテラン担当者ほど時間的余裕がなく、Webサイト活用に関する理解が薄い(長年の経験も自負もある)ことも手伝って共有化への障壁となってしまうことも…
この問題については機を改めて取り上げてみたいと思いますが、「顧客視点」のコンテンツ作りにはこの蓄積された顧客情報が欠かせません。
営業担当者が長年に渡って蓄積した顧客情報が、Webサイトのコンテンツを質量とも大きく向上させる「エッセンス」として作用するのです。