3C分析の自社分析は意外と難しい?のでWebサイトを活用してみる
秋も深まり、多くの企業にとっては来期の事業計画に着手する季節でもあります。
事業計画や戦略策定の古典ともいえるフレームワークが「3C分析」。
その中でも「自社分析」は案外客観化が難しく、主観的な分析になりがちです。
そんな時にWebサイトが活用できないか?と考えたのが今回のテーマです。
3C分析のうち、自社分析は難しい
分析の進め方としては先に競合(Competiter)あるいは顧客(Customer)から着手することとなると思いますが、どちらも外部環境についての分析となりますので、比較的客観的なデータを得やすいかと思います。
営業やマーケティングといった部門が分析を担当していることも多いでしょう。
一方、意外と難しいのが「自社分析(Company)」です。
独自資源や差別化要因は営業 / 開発部門、リスク要因は資材管理 / 人事部門といった形で各部門・部署による見解に加えて、競合・顧客分析の結果を受けた外部環境との相対化など、総合的かつ客観的な分析が必要となります。
ところが各部門や部署からの上がってくる報告は具体的ではあるものの、それぞれ視座が異なり一つ一つ取り上げていくと一貫性の欠ける分析となりがちです。
かたや全体を包括的に捉えようととしすぎても逆に粒度が大きすぎて、問題が抽象化する傾向にあります。
そういった中で外部環境との相対的なポジションを見定めているうちに、いつの間にか客観的な分析というより希望的観測に近い内容となってしまうところが自社に関する分析の難しいところではないでしょうか。
自社分析の結果はWebコンテンツ化されている
ところで自社分析のうち、「独自資源」や「差別化要因」といった内容については、実はコーポレートサイトでその内容が反映されコンテンツ化されています。
- 企業理念 / ミッションステートメント
- 商品紹介 / サービス紹介
Webコンテンツ化されているということは、ユーザー(顧客)の評価にさらされている=客観視されていることを意味しますので、これを分析に生かさない手はありません。
例えばアクセスログ(滞在時間や直帰率、コンバージョンレートなど)を解析することでそのコンテンツの評価が見えてくるかもしれません。
ユーザーからの問い合わせやアンケート結果などがあれば、自社で分析した強みや差別化要因とユーザーが購買やサービス利用などへ至った要因と自社分析の結果とを比較することも可能でしょう。
もちろん、そもそも自社分析の結果が正しくコンテンツに反映されていなければ意味はありませんし、Webサイトへアクセスしてくるユーザーは直接の顧客ばかりではありません。
それでも自社の強みや差別化要因がユーザーにとってどう捉えられているか、客観的なデータを得る手段の一つがWebサイトであることは間違いありません。
コーポレートサイトは「会社の鏡」
コーポレートサイトには先に挙げたコアコンピタンスや差別化要因といった要素の他にも、ブランディングやコミュニケーションツールとしての役割も担っており、いわば会社を映し出す「鏡」ともいえる存在となりつつあります。
ユーザーはWebサイトをあたかも一つの人格のように扱う傾向にあります。
統一感のあるデザインや表現、適切なブランディングがなされたサイトに対して、ユーザーは無意識的に「ブレがない」「律儀な」といった印象を持ちます。
ユーザービリティが行き届いたサイトについても「気遣いがある」というようなポジティブな評価となるでしょう。
かたやサービスや部門ごとにデザインがバラバラだったりすると「だらしない」と感じますし、誇張された表現や広告調の表現が多いサイトに対しては疑いを持ち、防衛的な態度で接するようになります。
心理学の世界では「現実の(自分が認識している)自分」と「他者が認識している自分」との乖離が少ない方が健全な人間関係を築きやすい、とする考え方があります。
同じように、企業運営においても他者が見ている自社=ユーザーの評価と自社分析との「ズレ」を解消することが健全化に寄与するのではないでしょうか。
3C分析、自社分析においても大切なことは、やはり「ユーザーや顧客を中心に考える」こととなりそうです。