コンテンツマーケティングのまわりの考え方を自分なりに整理してみました
ここ1~2年の間にWeb業界の界隈では、じわじわと「コンテンツマーケティング」というマーケティング用語が聞かれるようになりました。
Googleの検索アルゴリズム変更の影響でSEO業界が右へ左へ揺さぶられている間に、徐々に「やっぱりコンテンツが大事だ」的な流れが勢いを強めてきました。
そしてさらに、スマートフォンの普及によってユーザーのメディア接触が形を変えつつある環境の変化が相互に作用しているように感じます。
そこで、今回は企業のWebを担当する方が「コンテンツマーケティング的なことをやりたい!」と思った時に参考にしていただけるような整理の軸を考えてみました。
B2Cのビジネスにおける「コンテンツマーケティング」の場合
ひとくくりにB2Cといっても幅があるので、ここではたとえば食品メーカーなどの場合を想定してください。
マス広告も、オンライン広告も、PRやセールスプロモーションも行っているケースです。
「前に比べて(数年前と比べても、10年前ならもっと)、広告的なコミュニケーションで消費者が反応しなくなってきている」
というのは、多くの企業のマーケティング担当の方が感じられていることかと思います。
なぜならば、ものすごくざっくり言うと、
「ユーザーは、自分たちの好きなタイミングで、好きな方法(デバイス・メディア)で、自分に合うコンテンツに接触する」
ことが、容易になってきたからではないかと思います。
インターネットの中に優れたエンタテインメント性をもつコンテンツや、問題を解決するコンテンツと機能が増え、検索技術の向上によってユーザーは求めるコンテンツを探しやすくなり、さらにオンラインでつながる友人との間でそのコンテンツをシェアし話題にすることが簡単にできるようになってきたわけです。
こういう背景の中で、Webコンテンツに求められる要件は、内容としてはピンポイントのユーザーが対象でも意味のあるものが求められ、仕様としてはデザインや演出の新規性や斬新さよりも、他のサイトにも流用(引用)されやすい形式が重要となってきました。
つまり、
キュレーションサービス・メディアに「まとめられ」やすく、ソーシャルネットワークでも「シェア」されやすい内容と形式が求められているのです。
(制作会社としては、正しいHTMLの構文と、セマンティックなコーディングをきちんと行うことが求められます。)
そのためにコンテンツを作る側としては、今までよりもさらに「ユーザー中心」の視点で発想していく編集力のようなものがカギになっていくと思われます。
たとえば、食文化と健康管理をテーマとした記事を集めてメディアサイトを構築し、できるだけ広告色を排し、まずはなにより「ユーザーに受け入れられること」を最初の目標にコンテンツを作りためて行くことになります。
そして、ちょっと前まで「オウンドメディアを作って、人を集め、コミュニケーションを活発にしていこう」と考えていた発想を、「オウンドメディアは作るけど、外でも(他のサイトやSNS)でもちゃんとリーチ出来るように作ろう」に方向転換していく必要があると思われます。
B2Bの企業サイトにおける「コンテンツマーケティング」の場合
これも、モデルとなるシチュエーションとして、たとえばFA業界の工作機械メーカーをイメージしてください。
特許技術をもっていたりして、業界内ではそれなりの知名度もあり、製品も営業力も競合に引けをとらないけど、なかなかWebから引き合いを獲得できていないようなケース。
ちょっと前までは、SEOに注力をして順位の上下に一喜一憂していたかもしれませんが、製品情報と技術紹介のコンテンツだけではなかなか有効な問い合わせにつながらず、「もっと差別化要因を訴求するコンテンツを増やそう」という流れに至ったと想像してください。
しかし、B2Cのモデルと違ってキュレーションメディアでまとめられる可能性は少なく、SNSでシェアされても影響は限定的です。
なので、依然として検索エンジンからの流入を軽視するわけにはいきません。
ただし、ターゲットキーワードを決めて、セールスポイントの訴求を中心に据えたコンテンツを作って、そこにコストをかけてトラフィック(アクセス)を集めるというのは、もはや得策ではありません。
Webマーケティングの施策としては、競合も簡単にマネできるし、広告費の投下合戦になっても…
B2Bの場合よく言われることですが、意思決定が顧客企業の中で組織的に行われるため以下のプロセスを経ることになります。
- 「問題の把握・認識」
- 「解決のための情報収集」
- 「解決策候補の比較検討」
- 「具体的検討のための提案依頼」
- 「費用・提案内容の比較検討」
- 「稟議決裁」
- 「発注」
プロセスの4.以降は、人的な営業フェーズになるのでWebサイトが受け持つのは、おもに2.と3.になります。
なので、まずは情報収集をしながらインターネットを漂流しているユーザーを、自社のサイトに漂着させることが重要になります。
しかもそれは1度だけでなく2度3度、違う方角から漂着するとその後のプロセスに進みやすくなります。
そのためには、技術的な内容や事例、業界特有の環境変化などについて、量的にも豊富なコンテンツがあればユーザーがたどり着く確率が高まります。
元々、ニッチなキーワードが盛り込まれたコンテンツになるので、コンテンツの量が多ければ検索結果の上位を独占できる可能性もあります。
B2Bの企業サイトにおいては、実はコンテンツの「量」がポイントなのです。
そして、3.の段階へ進む橋渡しとして、比較検討のための「持ち帰り用コンテンツ」を用意すると、さらにステップを進めやすくなります。
せっかく訪れたユーザーをリリースしてしまうようですが、上記の通り組織的な決定プロセスを通過させるためには持ち帰り検討してもらうほうが効果的です。
そこでポイントになるのが、持ち帰り用コンテンツと引き換えに、リード情報を獲得する仕組みです。
代表的なものが資料ダウンロードの申込フォームです。
情報収集段階の見込顧客にアプローチできるようになるため、早い段階から営業がコンタクトして専門的見地からアドバイスをしながら提案機会を獲得することで成約率が高まっていきます。
工作機械の例で言えば、一つ一つが要件によって費用もまちまちだったりします。
情報収集の段階で、ある程度の予算規模にあたりをつけたいユーザーがサイトに訪れることを考えれば、
「導入事例と価格構成例」
が記載された資料はキラーコンテンツになりえます。
さらに、コンテンツの質を高めることに注力すれば、1.の段階の問題の認識の段階からコミュニケーションが始まる可能性もあります。
そのあたりは、コンテンツを作る腕次第ということになりますが…
結局、整理らしい整理になりませんでしたが、自社サイトにコンテンツ資産を蓄積しマーケティングに役立てたいという場合は、ぜひお気軽にご相談ください。