経営層がおさえておきたいWebサイト運営のポイント(1)ステークホルダーの視点 編
企業経営においてもWebサイトの重要性やプレゼンスは高まる一方、会社の経営陣が日常的にWebサイトの運営やプロジェクトに関わることはそう多くはないと思います。
しかしながら、経営層の視座からしか見えない事象や課題も少なくはありません。
そしてその見識がエッセンスとして加わることでWebサイトが「一味違った」ものになるような気がしてなりません。
今回は経営視点でWebサイトを捉え、経営陣が押さえておきたい運営におけるポイントについて2回にわたって考えてみます。
まずは「ステークホルダーの視点」編から。
広範なステークホルダーについての視座が、ユーザー体験をより豊かにする
まず、経営層と一般社員ではステークホルダー(の幅)に大きな違いがあります。
一般の社員がさまざまなタイプのステークホルダーと接する機会はあまりないと思います。
Web運営に携わることの多い部門で例えると、マーケティングや営業は取引先や顧客、広報であればマスコミ関係者といったステークホルダーとの付き合いが大半を占めることでしょう。
ところが経営層の場合は、直接の顧客やマスコミ関係者も含め幅広くステークホルダーとの接点を持っています。
株主や出資者、あるいは業界団体といった場で経営者同士で意見交換の機会もあるかもしれません。
取引先や顧客、マスコミといったステークホルダーであれば担当者と立場も近いですし、ペルソナやユーザーニーズに関してもリアリティを持って検討することができると思います。
ところがWeb担当者が株主や投資家、あるいは経営層といったユーザー体験をリアルに得ることができる機会はそれほど多くないはずです。
Webサイトすべてにわたってステークホルダーのペルソナやユーザー体験を豊かにすることができるのは経営層だけと言えるのです。
そしてもう一つ、最も重要なステークホルダーが何を隠そう「社員」です。
もちろん社員に対してコーポレートサイトを通じて直接的な施策や働きかけが必要というわけではありません。
しかしながらコーポレートサイトが(ステークホルダーである)社員にとってどのようなベネフィットがあるか、検討する価値はあると思います。
例えば社員の家族もステークホルダーに含めてみると、違った視点が見えてくるのではないでしょうか。
担当者の仕事ぶりにも着目する
社員というステークホルダーにフォーカスした時、たまに担当者や担当部門の仕事ぶりをチェックしてみるのもよいかもしれません。
例えばサイト運用の綻びが目立ってきたり、プロジェクトの進行状況が芳しくない状況においては、部門間の調整がうまくいかなかったり、あるいは外部のパートナー業者との関係がギクシャクしていたりと、問題を突き詰めていくと組織やコミュニケーションの課題へとたどり着くことがあります。
担当者や組織の中では解決できない課題がそこにはあるかもしれません。
以前ブログ記事でも取り上げましたが、特にコーポレートサイトは会社の「鏡」のような側面を持っています。
過敏に反応する必要もありませんが、表記のブレやデザインの乱れといった形でWebサイトの表層に事象として現れるようになったら、それは組織の自浄作用が効かなくなっているサインかもしれないのです。
(「会社の信頼性 」編へ続く)