Webサイトを閉じることになったWeb担当者が読む記事(2/5)
![](https://getting-better.jp/wp-content/uploads/2020/08/pic-closing-website-200826.png)
立つ鳥跡を濁さず
Webサイトの担当者たるもの、拾えるトラフィックは可能な限り拾っておきたいものです。来訪者にとっても、訪問する価値があるから流入してくるわけですから、アクセスできなくなると困る事があるでしょう。トラフィックを維持することは、来訪者にとってもWebサイト運用者にとっても価値のあることなのです。
とはいえ、現在のホスト名ではアクセスできなくするのが最終目標なのですから、現在のURLを維持し続けることは不可能です。これを解決するためには、コンテンツを移植して既存のURLから転送し、リンクを置き換えることでトラフィックを温存するようにします。
というわけで、具体的にサイトを閉じる手順は次のようになります。
- 救済するコンテンツを決める
- 救済するコンテンツを別サイトに移植し、転送先URLを決定
- 転送サーバを用意する
- DNSを変更し、既存URLが転送サーバを向くようにする
- 必要であり、予算があればサイトのデータを保存しておく
- 既存サイトをホストしていたWebサーバを解約する
このリスト、鋭い方はちょっと違和感を感じたかもしれません。そう、「ドメインを廃棄する」という手順を含めていないのです。
素朴に考えると、「使わないドメインだったら捨てればいいじゃん」とか思うかもしれません。この考え方は次の2つの仮説が成立する場合、正しいでしょう。
- ドメインを捨てることができる。
- 捨てたドメインは誰も拾わない。
ところが、残念なことにどちらも正しくないのです。
鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥
ドメイン名は文字列です。商標と同じようなもので、一度生まれてしまったものを無に帰すことはできません。このため、一度使われたドメインを誰にも二度と使えなくするような手順は用意されていません。すなわち、「自分が使わない」ことにはできるのですが、「誰も使えない」ようにすることはできない、すなわち捨てられないのです。
ドメインが捨てられない以上、一度生まれてしまったドメインは、誰かが使っているか、誰も使っていないかの2状態しかありません。そしてここが大事なのですが、誰も使っていないドメインを使い始める時、何ら制限はありません。早いもの勝ちが唯一のルールなのです。
ドメインの有効期限は公開情報で、どこの誰でも参照することができます。そして、更新を忘れるなどして無効になるドメインはあるものです。これと早い勝ちを合わせると、「更新忘れドメインを虎視眈々と狙う」ことができます。すなわち、捨てられたばかりのドメインを拾おうと、虎視眈々狙ってる連中がいるのです。