「ムスロ丼」とカスタマージャーニーマップ(3/3)
角度を変えて番組で見たことからアプローチ
途方に暮れて検索の角度を変え、以前に放送されたテレビ番組の内容が含んでいた情報からアプローチしてみましょう。
「五反田 中華 長澤まさみ」
これで、2番目に表示された検索結果のディスクリプション(説明文のグレーの文字)に「ムスロ丼」の文字を見つけることができました。まあ目につくのは「長澤麺」の方ですが。
この段階ではその料理を「ムスロ丼」と呼ぶことを知らないかも知れませんが、いくつか記事を読んでいくことで、店の名前が「大連」であること、そこのおすすめメニューが「ムスロ丼」であることが判明し、おぼろげな記憶と合致させることで、ついに名前が判明することになります。
こうしてみると、「ムスロ丼」は「中華」を起点とした時に、「どんぶり」や「きくらげ」よりも「五反田」「長澤まさみ」のほうが意味の繋がりが強いと、検索エンジンに(それは裏を返せばユーザーにも)判断されているということでもあります。
こういった検索エンジンの性質は、ビジネスの上で(特に検索エンジンとの相性が良いはずのBtoB企業では)活用していくためにカスタマージャーニーとして、意識する必要があります。
製品名やサービス名、会社名を知らないとたどり着けない状態だと、「ムスロ丼」と同じ状態です。もちろん、著名な芸能人のお力をお借りして、経路を建てつけるという方法もナシではないですが、それなりの予算とリスクの覚悟が必要でしょう。
ユーザーには道しるべが必要
本当に何かの課題を解決したくて、複数のキーワードを組み合わせながらたどり着いてくれるユーザーは大切なお客様になる可能性が高いので、きちんと道しるべをつけてあげるのが大事です。
道しるべを作るには「メタ情報」が役に立ちます。このあたりの情報設計については、こちらの記事をご参照ください。
「ムスロ丼」にとって「材料」や「場所」や「芸能人の名前」がたどり着くための道しるべになったように、製品やサービスの実体(エンティティ)の周りにある「メタ情報」が、キーワードを探す旅をしているユーザーにヒントを与える(=サイトに訪問してもらえる)ことにつながるのです。
ところで「大連」は移転しました。
五反田にあった町中華「大連」は、横浜方面に移転しました。
最寄駅は、京浜急行の戸部駅、相鉄線の西横浜か平沼橋からも歩ける範囲とのこと。
ちなみに、食べログのメニュー写真によれば「ムスロ丼」は健在です。移転前のお店で筆者はなぜか「オムライス」を食べたことがあります。本当です、なぜかメニューの端っこにオムライスがあって、期待以上に普通のオムライスでした。