2019年03月28日カテゴリ:Webサイト運用

「製品の情報」とは?キチンと設計するために定義してみた(前編)

「製品の情報」とは?キチンと設計するために定義してみた(前編)

以前、コンテンツを分類整理して置き場所を決めるための分類法(=「タクソノミーの設計」)については、「ケチャップ問題」として解説しましたが、分類する対象(コンテンツの内容物)そのものには、一体どんな成分(トマトとか食塩という話だけでなく)が含まれているのでしょう?

今回は、「製品の情報」を取り扱うメーカーのWebサイトを例に、「成分」をどのように構成すればよいのか?あるいはどんな「情報」が関係しているのか?について具体的に見ていきたいと思います。

「製品の情報」とは?

一般消費者向けの商品は、陳列棚に並べることができ、手に取ることもできるのでその製品に関わる情報を具体的にイメージしやすいと思います。「ケチャップ」の例で言えば、メーカーや内容物、製造年月日や賞味期限、価格などが「ケチャップという製品の情報」としてイメージできるでしょう。

しかし、「ケチャップ」には実際もっと様々な情報が含まれ、関連する情報も多岐にわたります。例えば、容量と容器のバリエーションとか、アレルゲンの成分とか、あるいは荷姿(6本組であったり6ダースが1パレットに乗る、であったり)とか。それぞれ、ユーザの立場の違いや、おかれた状況によって必要な情報は様々です。

ところで、製品の情報には「製品そのもの」に関する情報と、その「付帯情報」があります。
ここでは前者を「エンティティ(実体)情報」、後者を「メタ情報」と呼ぶこととします。

メーカーが用意しているカタログには紙面の制約があるため、ある程度の深さの情報でエンティティ情報もメタ情報もバランスよく整えられた形にまとまっていますが、その状態をWebに展開したところでユーザーの情報ニーズとマッチしないことがほとんどです。

Webサイトの情報設計においては、これらをどのように整理し、定義づけていけばよいのでしょう?

「エンティティ(実体)情報」と「メタ情報」の具体的考察

BtoBの部品メーカーの製品の中から配線部品(電気のスイッチ)を例に考えてみましょう。

エンティティ(実体)情報 メタ情報
  • 製品名
  • 機種名(固有名)
  • 型番・品目コード
  • 寸法・承認図
  • 材質・構成部品
  • 仕様・定格
  • 機能・性能
  • 特長
  • メーカー名
  • 製品画像
  • 分類属性(性能ランク、材質、大きさ、用途、ジャンルなど)
  • 用途
  • 利用形態
  • 適合規格(CE、JISなど)
  • 特許・商標
  • 発売日
  • 価格(希望小売価格など)
  • パッケージタイプ
  • 購入ロット(販売の最小単位)
  • 荷姿(箱の単位、パレットに乗せられる箱の数など)
  • 保守期限・保証期限
  • 販売状態・在庫状態
  • システム構成
  • シリーズ製品
  • 交換部品
  • オプション品

こうやって分けて考えてみると、情報の性質がちょっと違うことに気が付きませんか?
すぐに気が付いた方はきっと私たちの業界のプロになれます(笑)。

それでは両者の違いを具体的にみていきましょう。

  • エンティティ(実体)情報

    こちらはまさにその製品について「これ!」と指名するに足る固有の内容が含まれています。

    ちょうどこの部品を調達して配線につなぎ合わせるために適合性を調べていて、寸法と材質と調達価格を調べたい場合は、エンティティ情報にたどり着けることが非常に重要となります。

    つまり、予備知識が豊富で業務上の調べごとという利用文脈のユーザーにとっては、とても重要な情報(ニーズが高い)と言えます。

    そして、エンティティ情報には他の製品(例えば隣に並んでいる製品)との違いが明確かつユニークでなくてはなりません。
    そのユニークネスは、ほとんどの場合社内の情報管理として正規化(型番や品目コードなど)されているはずなので、エンティティ情報のユニークキーとして対象を特定する鍵となります。

  • メタ情報

    一方、メタ情報はその製品固有というより「その製品に関する周辺情報」であって、アクセスの起点やきっかけになったり、性質や用途がわかるための内容が多く含まれています。

    つまり、製品を特定する手前の段階(まさに探し中)で役に立つ情報が多く含まれていますので、予備知識が少な目だったり、製品自体やメーカーについて知らない新規ユーザーに認知を広める鍵となる情報でもあります。そういう意味ではとても利用価値の高い情報と言えます。

    ところで、「製品画像はエンティティ情報では?」と思う方もいらっしゃるかも知れません。しかし、多くの工業製品の場合、定格出力や適合電圧だけの違いはあっても、同じ筐体のために「見た目は同じ」もしくは「ほとんど一緒」ということは少なくありません。

    ですので、製品画像それ自体は「製品固有の情報」ではなく「周辺情報」として位置づけたほうがよいでしょう。

「用途」や「利用価値」に関わる重要なメタ情報

先ほどの表の「メタ情報」の1つに「用途」がありますが、表現の切り口としては具体的な用途を説明する「アプリケーション・コンテンツ」としてWebに掲載することがあります。

あるいは、その製品の利用価値(バリュー)を「ソリューション・コンテンツ」として、課題(利用の背景)と解決策を解説する形で展開することも可能です。

カタログ的な観点で考えているとエンティティ情報のほうに重点を起きつつ、メタ情報をちりばめたレイアウトを考えてしまいがちですが、インターネットの世界ではメタ情報で接点を創出して、ユーザーをエンティティ情報にスムーズに誘導することがとても重要なのです。

この話はSEOの話に聞こえるかもしれませんが、インターネット上のアクセス経路(チャネル)は検索エンジンだけとは限りません。

情報発信と誘導のチャネル

検索エンジンは、BtoBの世界でも特に有効な流入経路であることに間違いはありません。ただし、エンティティ情報だけだと「キーワード」がマッチしない限りリーチできないという欠点もあります。

そこで、そのエンティティ情報の周辺にあるメタ情報を軸に構成されたソリューション・コンテンツやアプリケーション・コンテンツがあると、ユーザーは身近な情報や既知のキーワードでもアクセス可能になります。

さらにそこから学習や発見によって適切なキーワードを見つけたり、探しているエンティティ情報にアクセスできるようになります。

また、検索エンジン以外にも有効な経路があります。例えば、工業製品であれば以下のようなものがあります。

  • モノタロウ

    いますぐ調達したい、あるいはザッピングしている状態のユーザーがたっぷり集っています。どちらかというと、具体的な検討段階に入っているユーザー向けの媒体です。

  • イプロス

    こちらはもう少し大きめの課題を解決するための何かを探している時にたどり着きやすいサイトです。導入検討のための情報収集段階のユーザーを集めてリードを創出しています。

  • 専門メディア

    今でも細々と業界紙(紙の専門誌)が続いているとは思いますが、インターネットにも「〇〇オンライン」(といった名称が多い)などの専門メディアがあり、業界関係のユーザーを集めていると思われます。

 

以上のようなメディアサイトでは、自社サイトよりも桁違いのユーザーが行き交っており、しかもメーカーが保有している製品の情報(が無いとサイトの価値が上がらないので)を欲しがっています。

これら外部サイトに製品の情報を掲載することは非常に価値が高いので、たとえ有料でもご予算の許す範囲で投資の優先度を上げたほうがよいでしょう。

図-エンティティ情報への流入経路と各チャネル

(「エンティティ情報への流入経路と各チャネル」イメージ図)

「公式」である責任

最後に、メーカーのWebサイトにとって、忘れてはいけない「製品情報の土台」があります。それは「公式」であることです。
当ブログでは以前にも

とか

といったテーマで投稿していますが、まず第一にそのWebサイトが公式であり、ユーザーが想定している会社と相違なく、安心して利用できることが必要です。
それらを満たした上で、製品情報が「正確」かつ「最新」であることを担保することこそが、「公式」であることの責任であると言えます。

これを実現するには、意外にも運用が一番大事なのです。
リニューアルを進めようとするときには、ぜひその視点をお忘れなく。

 

後編では、「では、具体的にWebサイトに製品情報をどうやって載せていったらいいの?」という素朴な疑問にお応えします。

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