ユーザーの視点が大切なことはわかってはいるけれど、具体的なニーズや課題はつかみにくいもの。
特にBtoB企業のサイトで営業的な活用を考える場合、意思決定は組織的であり購買プロセスも長期にわたるためユーザーの目的も役割も段階によってさまざまです。
最近ではユーザーの行動をアクセスログなどのツールで追うことができるようになりましたが、商談へつなげるためにどんなコンテンツを用意すれば良いか、あるいはナーチャリング(育成)のためにどのような施策を打てば良いか、その答えが簡単に導き出せるわけではありません。
こうした時に頼りになるヒントが、実は「社内」にあるのです。
最もユーザーをよく知っているのは営業担当
母数が多いBtoC企業の場合、マーケティングリサーチやメディアの情報によってユーザー像(ペルソナ)を描いたり、身近な消費者も想像しやすいと思います。
一方、BtoB企業だとユーザーの実像がつかみにくいのですが、流通チャネルを介さずに直接顧客と取引するという特徴があるため、顧客=ユーザーのことを把握している人間が社内には多くいるのです。
例えば窓口となっている営業担当者はユーザーのことを最もよく知る人間の一人です。
商談のファーストコンタクトから決裁、あるいは導入後の運用まで長期にわたって顧客をサポートするのが営業担当です。
プロジェクトの節目での飲み会や接待といったお付き合いもあるでしょう。
こうした関わり合いを通じて顧客企業の担当者(=ユーザー)の人となりから企業文化まで広く把握します。
ベテランの担当者であれば商談の各フェーズや相談の折にどのような資料やデータを提出すればよいか、肌感覚で知っているものです。
営業担当者へヒアリングし、その中からWebで肩代わりできそうなデータや資料をコンテンツ化することはユーザーにとっても役に立ちますし、営業活動の効率化や負荷軽減につながるヒントも得られるはずです。
技術・開発部門担当者はユーザーの課題も把握している
一方で実際に製品やソリューションを使用する層や導入に向けた要件を詰める交渉相手がユーザーとなる場合、営業担当者では専門的な知識が不足しているケースがあります。
そんな時は技術・開発部門の担当者が頼りとなります。
製品やソリューションについての事実や技術的な情報はもちろん、開発やアップデートに際してユーザーの課題や改善点のフィードバックを受けるエンジニアはユーザー理解にも長けています。
実際、導入が決まって具体的な要件を詰めたり導入サポートの段階では会議にエンジニアが同席することも多いのではないでしょうか。
営業ほど雄弁に語ってくれることはそれほど多くありませんが、時にドキっとするような思いがけない視点や示唆を与えてくれるのが技術・開発部門の担当者だったりします。
現場の声に耳を傾ける
その他、サポート部門はユーザーの悩み事の宝庫とも言えます(パナソニック社の「制御機器知恵袋」はコールセンター発のオウンドメディア成功事例として有名です)。
購買に関わる部門も直接ユーザーと接する機会を持っています。
「ユーザーの視点」と考えるとつい外部に目が行きがちですが、こうした社内に蓄積された情報やノウハウをこまめに収集していくこと、現場の声にきちんと耳を傾けることがユーザーを理解するための近道なのかもしれません。
アクセスログなどで得られたユーザー行動(カスタマージャーニー)の可視化や実証においてもその知見は大いに役立つはずです。
現場の担当者としても自身の業務負荷の軽減や全社的な効率化といった結果につながればなおのこと、協力的になってくれるでしょう。
属人化が課題とも言われるBtoB企業の営業活動ですが、このような形で部門間の協力体制を築いて情報共有を進めることが組織的な営業活動への転換に向けた後押しともなるのではないでしょうか。