OODAループでWeb担当者の業務改善のすすめ(キャンプ篇)(5/5)
笑って済ませられないプロジェクト
今回はどんな結果であろうと笑って済ませることができましたが、実際の業務(プロジェクト)ではそんなに軽く扱えないと思います。
ましてや会社のWebサイトをリニューアルする、とか、新製品のための特設サイトを作るとか、自社のビジネスに少なからず影響を与えるプロジェクトの場合、PDCAとOODAループをうまく組み合わせていくことが求められます。
計画段階では情報が不十分なことが多い
今回の例でもやはり計画段階では情報が不十分で、特に「水道がない」という情報を入手できなかったのは致命的でした。
現実においても計画段階で情報が十分に得られるとは限らないことに対して、十分な示唆を与えてくれます。
ただし不十分ながら計画は立てないことには、現場の判断の最適化においても矛盾がおきかねません。
戦略と戦術の関係にも似ていますが、計画と実行の間で共有できる「目的」や「方向性」があれば、高速なOODAループ(状況によってはさらに高速なOOAを)回していくことで計画の修正を繰り返すことができるようになるでしょう。
OODAループを高速で回して得られるもの
現場のWebサイトがいたるところに問題を抱えていて「リニューアルする」ということだけが決まっている状態の時、実はまさに「情報不足」の状態にあります。
もしもリニューアル地雷原の真っ只中にある時、一般論は情報としてあまり役に立たず、現実・現場の個別の具体的な状況を把握する必要があります。
そんな状態の時こそ、日々の改善や細かなプチ改修に取り組んでみましょう。「どうせリニューアルするのだから、現状のサイトにお金も労力もかけたくない」という気持ちはよくわかります。
しかし、ここで高速なOODAループを回すことで得られるものは、Webサイトとしての単なる成果物ではなく仮説検証の結果という貴重な実測値です。
ここに表示している電話番号にかけると何処につながるのか?といった細かいことから、初めてのユーザーが詳細ページたどり着いたとして、どのリンクで正しいページに誘導できるのかといったナビゲーションの適切性について、など、具体的に把握し仮説を元に改善に取り組むと、事実としての結果と経験を得ることができるはずです。
書籍「OODA LOOP」(東洋経済新報社 チェット・リチャーズ・著 原田勉・訳)の中でも、
おそらくOODAループが最も活躍するのが改善活動ではないだろうか
(訳者解説より)
とあります。
そして何より、関係者との間でさまざまな経験を積むことにより暗黙知が増えて信頼関係が強化されていくことがボイドの指摘するOODAループの真価とも言えます。
ぜひ、日々の運用や改善の中で取り入れてみてください。