リニューアルでは検討漏れに御用心!事前にじっくり考えたい問い合わせの処理体制(2/3)
押し寄せるビッグウェンズデー
やがて競合商品よりも優位性があることが知れ渡り、問い合わせはどんどん増えていきます。乗るしかない、このビッグウェーブ。既存の営業ルートからの問い合わせはさほど増えなかったのに対し、フォームの方は急激に増え、1日数件レベルになってきました。
新人さんも大忙しです。確かに8割方は営業提案なのですが、残りの1割は商品の問い合わせ、最後の1割は他の部署への問い合わせと思われるものでした。
新人さんは能力の限りを尽くしてメールを処理します。
商品の問い合わせでなく、売り込みでもなさそうなメールは、社内の他の部署あてなんでしょうが、そもそもどんな部署があるのか、担当者が誰なのかを知らないため、どこに転送すればいいのかわからず、情報を掘り出すのにどうしても時間がかかってしまいます。
問い合わせ先の間違え方は驚くほど多彩で、こう来たらこう受ける、といった手順がなかなか定まりません。
一方で商品の問い合わせ応対を先輩の営業担当者に回そうとするのですが、皆忙しいと言って相手にしてくれません。以前何も言わずにメールを転送したところ、事前に相談しろと怒られたので、転送して良いかどうか確認してから転送するようにしてるのですが、聞いたところで皆相手にしてくれないのです。
やがて未処理の問い合わせが2件、3件と溜まるようになり、応答はどんどん遅れていきました。
孤立する新人さん、そして…
そんな中、新人さんは誰も取り合ってくれないメールの処理をする仕事に疑問を抱き、会社を辞めてしまいます。先輩の営業担当者はフォームからの問い合わせがうず高く溜まっていることも知らず、安穏な日々を過ごしていました。
それから1ヶ月、会社の電話が鳴り響きます。電話に出ると、フォームに出した問い合わせの返事がさっぱりこない、とのクレームです。
電話に出た担当者は、たまたま最近転職してきたばかりで、何の話だかちっともわかりません。そもそもフォームで受け付けていること自体、引き継ぎされていませんでした。
さあ大変。
新人さんのメールアカウントは削除済みなので、過去にどんな問い合わせがあったか、今となっては誰にもわかりません。知っていたとしても、みな口をつぐんでいます。
Webサーバを探って貰いましたが、個人情報が絡むので問い合わせ自体がサーバに残っているわけもなく、メールログには延々エラーの情報が残っているだけでした。慌ててWeb担当者経由でフォームの宛先を営業部長あてに変更して貰いますが、失った問い合わせがどれくらいあるのか見当も付きません。
結局、フォームを設置することで新規問い合わせを減らし、会社の評判が下がってしまいました、とさ。