2015年07月22日カテゴリ:Webサイトリニューアル

リニューアルの目的をとらえる:Webリニューアル企画の勘どころ(2)

リニューアルの目的をとらえる:Webリニューアル企画の勘どころ(2)

前回の「課題化」に続いて、リニューアル企画にとって肝となる「目的」について考えてみます。

リニューアルの目的を考える時、よくありがちなのが

  • 問題解決の手段が目的となってしまうこと
  • リニューアルそのものが目的化してしまうこと

です。

ここで目的を見誤ると、必要のない機能が実装されてしまったり企業イメージに似つかわしくないデザインが採用されてしまう、といった結果を誘発することになってしまいます。

そうならないための解決法を探っていきましょう。

リニューアルで得られるベネフィットを考える

リニューアルの目的を考えるにあたって、この企画は誰に対して提案するかを考えてみます。

  • 上長、部門長
  • 経営層
  • 社長、CEO

いわゆる決裁者ですよね?

決裁に関わる役職の人は、何が会社のベネフィットになるかということを常に考えなければならない立場にあります。
ですので、会社にとってはリニューアルすることで得られるベネフィットがなければ、プロジェクトとして認めることはできないことを念頭に入れておくべきでしょう。

次によくあるリニューアルの目的をあげてみます。

  • デザインを刷新してブランド価値を高める
  • レスポンシブ化してユーザーフレンドリーなサイトにする
  • CMSを導入し、更新作業にかかる負担を軽減する

言いたいことはなんとなく伝わるのですが、もう少し踏み込んで考えることで結果として得ることができるベネフィットを明記できるようになります。

ここでは「デザインを刷新してブランド価値を高める」を例に考察して進めましょう。

まず「デザインを刷新」の部分をバッサリをカットします(理由は後述します)。

「(リニューアルすることで)ブランド価値を高める

だいぶシンプルになり、ブランド価値を高めたいことが伝わるようになりました。
このままでもいけそうですが、ブランド価値を高めた結果として得られるベネフィットが記載できるとなおいいですね。

では自社の「ブランド価値」とはなんでしょう?
例えば機材メーカーであれば故障の少なさや独自性、サービス業であれば社員・スタッフの対応力といったところでしょうか。
また、安定した経営基盤そのものがブランドの価値形成に寄与しているケースもあると思います。

こう考えるとブランド価値とはユーザーからの信頼を得ている「自社の独自財産(コアコンピタンス)」と言い換えることもできます。
ブランド価値を高めることはユーザーの信頼を得る、もしくはユーザーとの信頼関係を強固にする、というベネフィットが見えてきました。

ということで

ブランド価値を高めることでユーザーの信頼を得る

とより具体的なベネフィットを目的として掲げることができました。

課題の先に目的がある

最後に、「デザインの刷新」をバッサリとカットした理由について考えてみます。

デザインが古くさかったり統一感がなかったりといった理由でブランド価値を貶めているという事象があれば「課題」として解決しなければなりません(そして担当者としては一番気がかりなところだったりします)が、デザインを刷新することは課題を解決するための手段の一つであり、目的とイコールではありません。

「ブランド価値を高める」目的をデザインを刷新するだけで達成できるでしょうか。

他にも必要なコンテンツを揃えたり、サイトの使い勝手を良くしたりと、並行して解決しなければならない課題がいくつもあるはずです。
つまり、目的を達成するために課せられた問題が課題であり、課題の先には必ず目的がなくてはならないのです。

同様に「レスポンシブ化」はスマートフォン対応を実現するための技術的な手法であり、CMS(Contents Management System)は文字通りコンテンツを管理するための仕組みで、これも課題解決のためのツールです。

仮に代理店や制作会社からの提案を受けている場合、往々にして彼らが得意としている課題解決の手段が提案の骨子となっているケースがあります。
特に自社のサービスをソリューションとして展開している会社の場合、そのサービスを売りたいという意図はどうしても隠せないものです。

そのような外野の声に惑わされず、課題解決の結果として得られるベネフィットを見据えることで、会社や事業の本質的な目的が見えてくるのではないでしょうか。

Webリニューアル用企画書のテンプレート、ご活用ください!

こちらの記事もご参照ください。
自社の課題を把握する:Webリニューアル企画の勘どころ(1)
社内でWebをリニューアルする際、企画の骨子となる構成について

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