2019年08月29日カテゴリ:Webサイトリニューアル

先達はあらまほしき事なり:企業のWebサイトリニューアルに必要なもの(2/3)

なぜ「プロジェクト」だと上手くいかないのか?

業務の手法でプロジェクトは評価できない

プロジェクトは複数の非定型なタスクの集合体です。その個々のタスクをマネジメントするには、それぞれをきちんと「評価」する必要があります。
ここで重要なのは、「プロジェクト」「業務」で評価の方法が全く異なるところです。

業務の場合は、そもそも失敗しない前提ですし、失敗しないために打てる手もたくさんあれば、回避方法と付随するコストも十分経験が積まれています。想定したスケジュールや予算、出来上がる内容について、ちょっとやそっとの想定外事項が発生したぐらいじゃびくともしない状態でしょう。当然ながら、実際にやることに対して何が評価ポイントかも確立されていて、うまく行った・うまく行かなかったの定義も揺るぎないものになっていると思います。

一方で、プロジェクトにはそのような指針が一切ありません。少なくとも社内から援用できるようなものは一つもないでしょう。何しろ本業ではないのですから、詳しい人は基本的にいません。

で、これが最大の不幸なのですが、この「評価できない」という問題に目をつむり、ついつい業務と同じ手法で評価・管理しようとしてしまうことがあるのです。

例えて見るなら、プラモデルを組み立てるように本物の飛行機を組み立てようとしても、そんなことはできない、ということです。素材を集めて工作し、プラモデルのように部品を「組み立てるだけ」にするために、プラモデルでは使うことのない「パーツを素材から工作して組み上げる」というノウハウがびっしり必要です。そして、プラモデルは接着剤で貼り合わせることができますが、パーツは接合する方法と、それに必要な部品を予め設計して組み込んでおかないと、2つのパーツを組み合わせることすらうまくいきません。そして、プラモデルでは一切不要な構造設計が悪ければ、飛ばないどころか自重すら支えられないでしょう。

そう、プロジェクトは「非日常」なので、「日常」の常識だけでは対処できないのです。そんな状態で管理できるわけがありません。プロジェクトを遂行する上で「何が成功か」「何が失敗か」をきちんと定義しないと、成功・失敗の判断すらできないものです。逆に言えば、これぐらいフレキシブルなものがプロジェクトです。この自由度をねじ伏せるノウハウが社内にないのであれば、どこかから調達しなければなりません。

お祭りムードが状況をさらに悪化させる

さらに問題となるのが、リニューアル委員会などのメンバーの中を漂う「お祭りムード」です。プロジェクトになってしまう状態とは、業務以外、すなわち「非日常」なわけです。それこそ学園祭のノリで腕まくりして張り切っちゃうメンバーが出てきます。

学園祭ノリ、「お祭りムード」とは、例えば「出銭さえ押さえれば社内人件費は無尽蔵に利用可能」、すなわち「多少の無理は徹夜でカバー」とか、そういった“浮かれ具合”のことを意味します。この無尽蔵なリソースを想定してしまうと、「多少変更しても(誰かが)頑張ればなんとかなるだろ」とか、「スケジュールがキツイとか言ってるけど、(自分ではない、そこらの若いのが)ガーっとやりゃなんとかなるはず」など、地獄の底の黒魔術的な方法論が前面にバーンと出てくることになってしまいます。

学園祭ノリが見える最初の兆候は、「公開日から決めて動かさない」というものです。お祭りの場合は、実施日に向けてすべての準備を整えて、ばーっとエネルギーを発散して終わるわけですが、プロジェクトはそう進むものではありません。そもそもお祭りムードのメンバーは、公開日以降に自分が何らかの責任を負い続ける、という状況を微塵も考えていません。自分が解放される「終わる日」があるはずだ、と思えばこそ、公開日を決めたがるのです。

プロジェクトを遂行するためには、様々な選択肢の中から、メリット・デメリットを見極め、やること・やらないことを決めていかなければなりません。なので、何をすべきかとか、どうすべきかといった議論を抜きにして締め切りだけを決めてしまえば、失敗するしかないのは明らかです。

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