2015年03月16日カテゴリ:Webサイトリニューアル

Webサイトリニューアルを計画する際には特に気をつけたい「ユーザーを理解する」ということ

Webサイトリニューアルを計画する際には特に気をつけたい「ユーザーを理解する」ということ

Webを中心にいろいろな施策を考える、という落とし穴

さまざまなビジネスシーンにおいて企業のWebが果たす役割が増すにつれサイトの運営を担当する方には、さまざまなミッションが降ってくるようになりました。

  • ソーシャルメディアの対応は?
  • SEO対策もきちんとやらねば
  • スマートフォンやタブレットにも対応しなくては
  • スペシャルサイトも作りたい
  • 多言語対応もしなくては
  • そもそもリニューアルしなければ
  • …etc.

このときに、自社のWebサイトを中心に据えて、その周りにチャネル別の流入施策であったり関連サイトとの導線を考えると下図のようなモデルで考えがちです。

Webサイト流入チャネル

図式化すると確かにこういうことなのですが、この視点で発想するとリニューアルのプロジェクトが成功する確率は低くなります。

仮にリソース(人的にも資金的にも)が潤沢にあったとしても、つぎつぎと現れるチャネルやWebのトレンドに投資していると回収がどんどん遠くなります。
重みづけをおこなって、優先度を決めたとしても各施策が散漫になったり、結果的に統合を検討しなくてはならなくなったりします。

なにが間違っているのでしょう?

私たちはWebサイトのリニューアルプロジェクトの時はいつも考えます。
このWebサイトに訪れるユーザーは、どこから何を探してたどり着いてくるのか?

そして、自社Webを中心に据える考え方ではなく、ユーザーの視点を持つことをご提案しています。

自分が一人のユーザーとしてどんな環境にあるのか

昨今のユーザーをとりまくWebコミュニケーションの環境は下図のようになっています。
そして、さらにこれらの接点をマルチデバイス(PC/スマホ/タブレット端末)で持っているのが2015年時点の現在の姿です。

ユーザーをとりまくWebコミュニケーションの環境(2015年3月現在)

この形だと、それぞれのチャネルごとにユーザーの行動をシナリオとして書き起こすことができるようになります。

  • 何かの課題を解決したいユーザーが、その課題に関わるキーワードを知っていれば、検索エンジンを使って検索をする
  • 課題が顕在化していない場合、何かのメディアでコンテンツに接しているときに、その横に表示されたバナーから解決の糸口に気がつきクリックしたり、印象に残したりする
  • 同僚や友人など、SNS上の友人がシェアしたコンテンツから問題を認知したり、課題について共感したりする
  • 転職のため就職情報サイトの一次情報は読み飛ばして、対象企業のコーポレートサイトを訪ね、応募者向けではない情報から会社の様子をさぐる

いかがでしょう?
自分が一人のユーザーとしてどんな行動をとっているか?思いを重ねながら、これらのシナリオを想定することができると思います。

ユーザー中心に発想することの価値

スマートフォンのユーザーが増えたので、コンテンツはそのままで技術的にスマートフォン表示に対応するのも一定の効果はあります。
しかし、実際に自分がユーザーになって使ってみると、「あ!これは使いにくい」と気がつくことがあります。

よく見かける例としては、地図を表示したページをスクロールしようとして(地図の下にある営業時間などの詳細情報を見たくて)、タップすると地図が動いてしまったり、地図アプリに遷移してしまったり…

このような問題はUI(ユーザーインターフェース)を改善により、問題を回避することができますが、根本的な問題はそのユーザーのニーズを予見できなかったことにあります。
上の例で言えば、「場所を知りたい」というニーズと「営業時間を知りたい」というニーズは、それぞれ違ったUIを要求するので切り分けたほうがよかったのかもしれません。

これは小さな不都合の例ですが、企業のコーポレートサイトの場合はユーザビリティ以上にコミュニケーションが有意義に成立しているかどうか?が問われる局面があります。

マーケティングの目的で言えば、サイトのコンテンツが売込み的なトーンで敬遠されてしまったり、ユーザーにとってのベネフィットが感じられないと、潜在顧客とのコミュニケーションでそのWebサイトが果たせる役割は限定的でしょう。

そのほかのステークホルダーについてもそれぞれのユーザーにとって役立つ情報によって、意味のあるコミュニケーションを成立させることに価値があるのです。

この視点の置き方はWebサイトリニューアルのプロジェクトにとって、ミサイルの発射角度のような重要なポイントになります。
角度が間違っていると、どれだけリソースを突っ込んでも目標に届かなかったりするので、プロジェクトの初期の段階でしっかりと考えることをお勧めします。

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