【Web担当者におすすめ書籍の紹介】『学校では教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』
企業のWeb担当者は高度なコミュニケーションのスキルが求められる立場に(本人の希望と関係なく)おかれることが多いと思います。
各部門の様々な立場の方から、コンテンツ追加や変更の要請、機能拡充の要望やバグの指摘などが寄せられ、制作会社や開発会社に要件をとりまとめて伝え、そのフィードバックを聞いて理解し、社内に展開する。
そして、コンテンツの制作や機能の追加・改修に費用が必要な場合は、Webに詳しくない(自分よりもさらに詳しくない)上長に、説明して決裁を仰がねばなりません。
コミュニケーションの相手のリテラシーや立場によって、説明のやり方をチューニングしないとなかなか目的とする理解を得られないことが想像されます。
時々、お客様から「企業サイトのWeb担当者として参考になる本を紹介してください」というご要望をいただきます。
Webに関する基本的な知識を仕入れるためには、正直なところ本屋さんで適当に探す(比較的新しいものをお勧めしますが)だけで十分なので、よくこの本を紹介しています。
『学校では教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』(光文社新書)
説明が「わからない」時の原因の類型
この本の冒頭、「わかりやすい」ではなく、「わからない」シチュエーションから説明が始まります。
簡単にまとめると、「わからない」には3つの類型があって、
・何の話かわからない:「テーマ」がわからない
・言葉の意味がわからない:「言葉」がわからない
・なんでそうなるのかわからない:「論理」がわからない
以上のどれか?か、組み合わせで「わからない」が生まれているそうです。
いかがでしょう?
たとえば、制作会社の担当者が「それは、出来ない、やらないほうがよい」という主旨の説明をしているのに、結局なんでやらないほうがよいのかよくわからない???ようなケースを想像してください。
さすがにテーマがずれていることはないと思いますが、使われている「用語の意味が分からない」か、「どうしてそうなるのか?話のつながりがわからない」のどちらかだと思います。
こんなとき、この構造が分かっていれば、
「○○って、どういう意味ですか?」
であったり、
「○○が××だと、なんでそうなるんですか?」
という、詳しく説明してほしいポイントを指定して質問できます。
説明している方は、「そうか、これの意味が理解できていなかったのか」とか「○○だと××になるメカニズムを端折ってはだめなんだ」と気が付きます。(←気が付けって話ですが)
原則や構造からテクニックへ
本書の構成は、前半でわかりやすい説明を実現するための、原則や構造が解説され、後半で表現のテクニックや練習がまとめられています。
・「わかりくい」原因
・間違ったアドバイスや勘違い
・わかりやすく説明するために必要な意識
・表現の練習
・説明力アップのコツ
・聞き手の世界観
・頭の体操
なんと、最後に頭の体操までついているので、飽きません。
本書は、「説明のルール」と言いながら、説明を聞く時にも理解力を高めるコツがわかります。
そういう意味で、企業のWeb担当者にとって役立つ本だと思います。
ちなみに、Webに関する新しい知識になるようなことは何一つ書いてありません。そっち方面のレコメンドを欲しい方は、お気軽にお問い合わせください。