ユーザーにとってジャンクションとして機能する「会社概要」コンテンツとは?
どのコーポレートサイトにも必ず存在しているコンテンツが「会社概要」。
特にB to B企業のサイトではPVも多いコンテンツです。
しかしながらコーポレートサイトにおいては必須のコンテンツでありながら、販促やプロモーションといった売り上げに直結するコンテンツではない(と思われている)せいか、「とりあえずあれば良い」といった扱いを受けていることも事実。
ところがPVが多いということは、大きな可能性を秘めているということの裏返しに他なりません。
初めて訪れたサイトについては、とりあえず会社概要を覗いてみるというユーザーもいることでしょう。
そこで今回は「会社概要」コンテンツを訪れたユーザーが「必ず一度は通る場所」と位置づけて、どのように機能させるべきか迫ってみます。
「会社の地図を見にくる」だけではもったいない?
「会社概要ページにアクセスが多いのはわかっているけど、どうせ会社の地図を見にきて終わりでしょ?」
早速そんな声も聞こえてきそうですね。
確かに会社の所在地やアクセス方法を目的に訪れるユーザーは多いですし、営業目的であればなおさらです。
しかしながら「終わってしまう」のはそこから先につながるコンテンツへの誘導がないから、とも考えられます。
ポップアップで地図画像が開き、印刷ボタンだけあるようなサイトもかつてはありましたが、それこそ行き止まりであることを示していることに他なりません。
ここでユーザーの興味を惹くようなコンテンツへ誘導ができれば、ここを起点に新たな回遊が始まることになります。
すなわち「ジャンクション=分岐点」として会社概要コンテンツが機能することになるのです。
一般的なコミュニケーションに倣って回遊策を考える
ユーザー中心の設計に際しては「ユーザー行動シナリオ」や「カスタマージャーニーマップ」などのツールがよく用いられますが、ステークホルダーが多方面にわたる会社概要コンテンツですので、今回は一般的なコミュニケーションに基づいて考察してみます。
(「BtoB企業のWebサイトにおいて「会社概要」のページを侮るべからず」という記事でシナリオベースの誘導策をご紹介しています)
メールや報告など、ビジネスシーンにおける効率的なコミュニケーションは下記のような流れとなると思います。
- テーマ
- 結論
- 理由(目的・原因・根拠)
- 意見・背景
この中で会社概要コンテンツが相当するのは「3.理由(目的・原因・根拠)」となるでしょうか。
仮に、とあるサービスの導入を検討しているケースであれば
- 比較検討の過程でサイトを訪れ
- サービスの内容やスペックを確認し
- さらにそのサービスを提供している会社が信用に値するかを見て…
といった形でその結論に至る理由や根拠(の裏付け)として会社概要コンテンツへ至るシナリオが考えられます。
ここで理由や根拠となりうる情報を提供し、さらに「4.意見・背景」を述べているコンテンツへと誘導できるとよい、ということですね。
B to B企業であればサービス導入後も取引が続くことも多いので、企業理念などの自社のビジネスコンセプトやコアコンピタンスを訴求するコンテンツへ誘導、あるいはさらに他にどのような事業を展開しているか、より深く会社を理解してもらう目的で直近のリリース記事や一押しのサービスへの誘導施策も考えられます。
もちろん、派手な広告バナーなど、誘導のための誇大な表現は避けるべきですが、関連コンテンツへ展開できれば、ユーザーによりサービスや商品に対する理解を深めてもらう、あるいは新たな気づきや興味を喚起させる可能性も広がっているということなのです。
ユーザビリティから考える「ジャンクション(=分岐点)」機能
ほかのコンテンツでは当たり前に行われている回遊策ですが、ことさら会社概要コンテンツでは見過ごされているように感じます。
問い合わせへ至るコンバージョンの通過点と捉える向きもあり、「囲い込む」ような設計思想があったのかもしれません。
当然のことながら、ユーザーの動きは直線的でなく、わたしたちの考えたシナリオどおりに遷移することはまずないと言っていいでしょう。
ユーザーからすればせっかく信用に足る理由や根拠の裏付けを得たにもかかわらず、目的の行き先が見つからなければ戻るか離脱するほかありません。
ユーザービリティの観点からも、高速道路におけるジャンクションのように、次の道筋(複数の選択肢)を提示し続けることで使い勝手も高まるのではないでしょうか。