2016年05月27日カテゴリ:Webサイトリニューアル

リニューアルプロジェクトをめぐるスケジュールや予算感について〜それを見極めるための「企画」という発想〜

リニューアルプロジェクトをめぐるスケジュールや予算感について〜それを見極めるための「企画」という発想〜

リニューアルプロジェクトのオリエンやコンペにおいて、予算やスケジュールの提出は必須といってもよいものです。

プロジェクト開始前なので概算として提出されることとなりますが、その認識のないままプロジェクトを進めてしまうとその予算とスケジュールに縛られることになってしまい、本質的な課題解決に至らなかったり既存サイトの見た目の焼き直しだけで終わってしまうこともあります。

そうならないためにも、プロジェクトの計画を練る「企画」のフェーズが必要なのです。

Webサイトをとりまく状況の変化

企業が自社のWebサイトを開設し始めた頃、ベースとなっていたのは「会社案内パンフレット」の電子版でした。

その後、お問い合わせフォームやニュースリリースなどの機能が加わったものの、会社概要やサービス・製品紹介といったコンテンツは会社案内パンフレットをそのままWeb化した状況が長く続いていたと思います。

ところがここ数年の「コンテンツファースト」の流れもあって企業のWebサイトの役割が大きく変わりつつあります。

企業が蓄積している様々な情報がユーザーにとって有益であることがわかり、「資産」としての価値を持つようになってきたのです。

こうした機運を受けてリード獲得をはじめとした営業施策やブランディング、あるいは社内向けコミュニケーションといったさまざまな分野で自社のWebサイトが活用されるようになりました。
企業のWebサイトが会社案内パンフレットとしての役割をはるかに超えて、企業活動全般にわたって不可欠なツールとなってきているのです。

実は危険なコンペ提案のスケジュールと予算

こうした状況下で実施が検討されているリニューアルプロジェクトなので、当然ながら前回のリニューアルとは前提条件が異なります。
よほど直近で実施したケースを除いて、前回リニューアルの予算やスケジュールはあまり参考にはならないでしょう。

そうはいっても社内稟議を通すためには予算やスケジュールの見通しが必要となりますので、付き合いのある制作会社に打診したり、オリエンやコンペを実施して予算やスケジュール感を把握することとなります。

提案を伴うオリエンやコンペを実施することも多いと思いますが、その際に提出されるスケジュールや予算の精度は実はそれほど高くはありません。

社内で十分な議論を重ね、RFI(提案依頼書)などの事前資料でWebサイトの抱える課題や達成したい目的を提示しても、制作会社サイドに本質的な課題を見出すための時間は十分ではありません。
特に運営側の組織が抱える課題にまでリーチすることはほぼ不可能なため、プロジェクトに着手してから必要な機能が出てきたり、計画そのものの変更を迫られることも少なくありません。
(実際、コンペ提案の通りにWebサイトが構築されることはまずないと思いますが)

また残念ですが、受注したいがために価格やスケジュール面での優位性をアピールしてくる制作会社がいるのも事実です。
似たような提案内容で極端に価格や納期に差がある場合、慎重に精査する必要があります。

いずれにせよ、オリエンやコンペ段階の予算やスケジュールは制作会社の実力を見る判断材料、あるいは社内稟議や予算取りのための資料と割り切ることが賢明です。

適性な予算やスケジュールを決める「企画」フェーズ

では、リニューアルにかかる適性な予算やスケジュールはどのように判断すればよいのでしょうか。

弊社では、リニューアルプロジェクトに際して、そのプロジェクトのあり方や目的を計画するために「企画」というフェーズを設けています。
制作会社によっては「要件定義」といった用語を使うところもありますが、概ね同義語と捉えてよいでしょう。

規模や要件によって異なりますが、2~3ヶ月ほど時間をかけて本質的な課題を洗い出し、リニューアルの目的や必要な機能を洗い出していきます。
目的や機能の洗い出しが終わり「何を作るか」が決まった時点で初めて予算とスケジュール感を把握することができるのです。

「何を作るか」を最初に明確化しておくことでプロジェクト途中での追加の要件や要求も少なくなり、結果としてスケジュールや予算に余裕が出ることも少なくありません。

矛盾しているようですが、この方法はあらかじめ予算やスケジュールが決められているプロジェクトでも有効です。
というのも予算やスケジュールが前提条件となり、かえって優先順位がつけやすいこともあるからです。

ちなみに弊社ではプロジェクト開始時は企画フェーズのみ見積もり・スケジュールを提示し、それ以降の工程については(必要に応じて)概算のものを提示しています。
そうはいっても企画してみたら(どこぞの国のオリンピックのように)概算の何倍にもなってしまうようなことはありませんのでご安心ください!

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