「製品の情報」とは?キチンと設計するために定義してみた(前編)(2/3)
「エンティティ(実体)情報」と「メタ情報」の具体的考察
BtoBの部品メーカーの製品の中から配線部品(電気のスイッチ)を例に考えてみましょう。
エンティティ(実体)情報 | メタ情報 |
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こうやって分けて考えてみると、情報の性質がちょっと違うことに気が付きませんか?
すぐに気が付いた方はきっと私たちの業界のプロになれます(笑)。
それでは両者の違いを具体的にみていきましょう。
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エンティティ(実体)情報
こちらはまさにその製品について「これ!」と指名するに足る固有の内容が含まれています。
ちょうどこの部品を調達して配線につなぎ合わせるために適合性を調べていて、寸法と材質と調達価格を調べたい場合は、エンティティ情報にたどり着けることが非常に重要となります。
つまり、予備知識が豊富で業務上の調べごとという利用文脈のユーザーにとっては、とても重要な情報(ニーズが高い)と言えます。
そして、エンティティ情報には他の製品(例えば隣に並んでいる製品)との違いが明確かつユニークでなくてはなりません。
そのユニークネスは、ほとんどの場合社内の情報管理として正規化(型番や品目コードなど)されているはずなので、エンティティ情報のユニークキーとして対象を特定する鍵となります。 -
メタ情報
一方、メタ情報はその製品固有というより「その製品に関する周辺情報」であって、アクセスの起点やきっかけになったり、性質や用途がわかるための内容が多く含まれています。
つまり、製品を特定する手前の段階(まさに探し中)で役に立つ情報が多く含まれていますので、予備知識が少な目だったり、製品自体やメーカーについて知らない新規ユーザーに認知を広める鍵となる情報でもあります。そういう意味ではとても利用価値の高い情報と言えます。
ところで、「製品画像はエンティティ情報では?」と思う方もいらっしゃるかも知れません。しかし、多くの工業製品の場合、定格出力や適合電圧だけの違いはあっても、同じ筐体のために「見た目は同じ」もしくは「ほとんど一緒」ということは少なくありません。
ですので、製品画像それ自体は「製品固有の情報」ではなく「周辺情報」として位置づけたほうがよいでしょう。
「用途」や「利用価値」に関わる重要なメタ情報
先ほどの表の「メタ情報」の1つに「用途」がありますが、表現の切り口としては具体的な用途を説明する「アプリケーション・コンテンツ」としてWebに掲載することがあります。
あるいは、その製品の利用価値(バリュー)を「ソリューション・コンテンツ」として、課題(利用の背景)と解決策を解説する形で展開することも可能です。
カタログ的な観点で考えているとエンティティ情報のほうに重点を起きつつ、メタ情報をちりばめたレイアウトを考えてしまいがちですが、インターネットの世界ではメタ情報で接点を創出して、ユーザーをエンティティ情報にスムーズに誘導することがとても重要なのです。
この話はSEOの話に聞こえるかもしれませんが、インターネット上のアクセス経路(チャネル)は検索エンジンだけとは限りません。